特集 皮膚泌尿器科診療の進歩〔2〕
ACTH,Cortisoneの適応症をめぐる2,3の問題
中村 家政
1
,
児玉 伸二
1
1熊本大学医学部皮膚科泌尿器科教室
pp.1117-1131
発行日 1955年12月25日
Published Date 1955/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201571
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I.はしがき
皮膚科領域に於けるACTH,Cortisone療法の経験はO'Leary,1)Erikson等が初めて紅斑性狼瘡と乾癬に試みてより既に6年余を経過,その間米国では各個研究は素より幾多広範なる共同研究が発表され,且つ第10回国際皮膚科学会総会でも主要討議事項の一つに選ばれて居り一応意見は出盡したとみられるが,一方我国でも一昨年開催された日本皮膚科学会総会席上小堀博士2)に紹介されたのを契機として急テンポに進み,早くも試験期を過ぎ既に実用の時期に入つたと云う感がある。とは云え本療法は所謂pathologico-physiologicalchange(病理生理学的変化)を斉らすのみで,直接原因に作用して疾患自体を完治せしめる効果は期待出来ない。従つて本剤は投与を中止すれば忽ち再燃,再発が起り易く,結局繰返し使用を余儀なくされる結果種々不測の偶発事項が起り易いことが最近改めて注目されて来た。そこで私共は之等の問題に就いて些か経験を加えつゝ以下文献的に考察してみたいと思う。
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