論述
ACTHとCORTISONE
中尾 健
1
,
大森 義仁
1
1東京慈惠會醫科大學藥理學教室
pp.101-105
発行日 1951年12月15日
Published Date 1951/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905622
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副腎皮質機能は全面的に腦下垂體前葉のACTHにより支配されていると考えられるが,ACTH及びcortisoneがリウマチ性關節炎に著効があると1),2)報告されて以來,爾餘の疾患にも急激に適用されるに到り,これ等兩hormoneに對して基礎的並に臨床的にも廣範圍に追及され,現在では我國にも入手し得る段階に到達したので,この兩hormoneに就て簡單に述べて見る。
歴史:Smith3)が始めて副腎皮質機能の腦下垂體性支配を明かにしたが,腦下垂體摘出動物に認められる副腎の萎縮4)其他の組織學的變化は皮質のみに限局5)され,前葉移植6)或はその抽出物の注射7)によつて正常状態に復歸させ得る事から,その支配性因子はACTH(adrenal cortical trophic harmone)と呼稱された。其後,ACTHの産生分泌は,血中の皮質hormone濃度8),血糖量9),10)或はadrenaline量11)によつて左右され後の二因子に就ては反對12)もあるが,これら兩内分泌腺間には或機能的連繋がある事が明らかとなり,腦下垂體前葉副腎皮質系と呼ばれるに到つた。Selye13)は彼のGeneral Adaptation Syndrome等の概念を發表すると共に,皮質hormoneには,gluco-,mineralo-,lipo-及びtestocorticoid等の多くの因子があるとした。
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