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皮膚科泌尿器科領域に於けるチオバルビタール剤静脈麻酔の経験
堀米 哲
1
1札幌医科大学皮膚泌尿器科教室
pp.1035-1038
発行日 1955年12月1日
Published Date 1955/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201552
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まえがき
古くより外科領域に於ては,手術時患者の疼痛を取り除くために,種々な藥剤の使用が試みられてきたが,エビパンナトリウムを用いて実用的に静脈麻酔に成功したのは,W.Weeseで1933年のことである。その後静脈麻酔剤の研究は,より作用が短くて速やかなもの,より強力なもの,より蓄積作用の少いものへと進み,その翌年J.Lundyが,ペントタール・ソヂウムを紹介した。この麻酔剤は,(1)麻酔の導入が円滑で覚醒が早いこと,(2)エビパンに見るような防禦反射,運動不安,四肢の強直がないこと,(3)体内(肝その他)で速やかに分解するので持続的注射を必要とするが,その反面麻醒程度により使用量を調節することができること,(4)安全域が広いこと,覚醒時の興奮,後睡眠のないこと等をもつて特徴とし現在の所最も理想に近い静脈麻酔剤である。わが国においても,戦後ペントタール・ソデウムが発売されるに至つた。ペントタール・ソデウムは,チオバルビタール系化合物に属し,その構造式はである。
今回われわれは,皮膚科泌尿器科領域における手術に,第一製藥提供のチオバールを使用して臨床的観察を行つたのでその結果を報告する。
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