Japanese
English
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泌尿器科領域に於けるテラマイシンの使用経験
CLINICAL EXPERIENCE WITH TERRAMYCIN IN UROLOGY
楠 隆光
1
,
生駒 文彦
1
Takamitsu KUSUNOKI
1
,
Fumihiko IKOMA
1
1大阪大学泌尿器科教室
1The Department of Urology, School of Medicine, Osaka University.
pp.1192-1195
発行日 1958年11月1日
Published Date 1958/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202401
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最近の抗生物質の発達は,各種感染症の治療に華々しい効果を示して来た。なかでもテラマイシンは,経口,又は非経口投与の何れによつても,血中並びに尿中に於て,迅速に治療上有効な高濃度に達し,且つ広範囲の尿路内病原菌に対して異例の作用を有するものである。之に関しては既に数多の報告があり,この適応範囲の広い抗生物質は尿路感染の主体とする泌尿器科領域の感染症の治療には特に無類の効果を示すものである。
テラマイシンは,土壌より分離された1種の放線状菌Streptomyces rimosusの培養濾液より得られたもので,米国に於て始めて1950年1月Science誌上に於て,Finlay et al.の11名のPfizer研究所員に依り発表されたものである。木剤は塩酸及びナトリウムと化学的に反応し,安定な結晶性塩を作る結晶性両性物質であり,その毒性は著しく少ないとされている。その抗菌作用の範囲は広く且つ強大であり,試験管内及び生体内実験でグラム陽性及び陰性菌,好気性菌,嫌気性菌,リケッチヤ及び或る種のヴアイラス,スピロヘータを含む広範囲多種の微生物に有効である事が実証されている。且つ更に持続的な,治療上有効な血中濃度を生じ,しかも尿中に相当高濃度に且つ多量に排泄される点は本剤の特徴であり,泌尿器科領域に於ける感染治療に適したものであろう。
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