皮膚科図譜・52・53
ブロム疹/ペニシリンによる黒舌症
谷奧 喜平
1
1東大皮膚科
pp.563-564
発行日 1955年8月1日
Published Date 1955/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201471
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42歳,家婦。昭和30年3月4日,悪感頭痛,不眠を訴え,同7日より13日迄,37.8℃乃至38.2℃の発熱があつた。肝炎との診断の下に,7日よりブロム剤1日2.0gを8日間投与された。同月15日より両頬部に痤瘡様発疹を生じ,ダーマリンを2回塗布したが漸次悪化し,20日当科を訪れた。主とし顏面,両頬部に粟粒大乃至米粒大の毛孔一致性の暗褐色の丘疹が散在し,一部では中央が壊死を来し膿疱を作り暗褐色の痂皮を載く。又銅貨乃至雀卵大の腫瘍となり,表面は比較的平滑で暗褐色を呈しているが,所々膿並に痂皮が見られる。即ちプロム痤瘡と結節性ブロム疹の像を呈している(第1図)。尿中にブロム陽性。組織像では表皮突起の延長並に突起中に膿瘍が見られる。真皮では淋巴球,プラズマ細胞,組織球よりなる細胞浸潤が皮下組織まで達している(第2図)。バル,チオ硫酸ソーダ投与により5日間で治癒。
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