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海外トピツクス
pp.340-341
発行日 1955年5月1日
Published Date 1955/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201435
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非淋菌性尿道炎
Graham (1954)は最近3年間の米国及び極東に於ける3,000人の米海軍将兵患者で,非淋菌性尿道分泌の原因と考えられるような状態についていろいろ観察した。その結果これら患者のうちでは淋菌感染以外の原因による尿道炎患者は比較的少く,その大部分は慢性前立腺炎を持つていた。併しこの慢性前立腺炎の症例は大体機能性と呼ばれる病型で,細菌感染によるものではなく,不満足な性生活とか,長期の前立腺充血による前立腺の機能失調に基く炎症によると記載されているものであつた。彼は非淋菌性尿道炎をめぐつての混乱の多くは尿道分泌の原因となる状態を明確に鑑別出来ないことに起因するのだろうと考えている。従つて各例について特異的な原因を確定し,同時に原発性炎症の部位を指示するような診断をつけるべきで,紛らわしい非淋菌性又は非特異性尿道炎という言葉は用いない方がよい。この非淋菌性尿道炎なる名称は,いろいうな原因による状態を包合しているにも拘わらず,或る種の臨床家に原因不明な単一疾患と考えられたり,或は非淋菌性又は非特異性"尿道炎"という言葉から尿道にのみ注目して他の原因,例えば前立腺炎等を見逃すことにもなり,結果的には原因的治療を怠つて,尿道分泌のみを治療の対称とする好ましくない傾向をも生じてくる。
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