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内外文献抄録
pp.342-347
発行日 1955年5月1日
Published Date 1955/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201436
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皮膚科
外国文献
クレチン病の皮膚科的所見 T.Butterworth,──Arch.Dermat.& Syph.70:565:1954.
本症患者の皮膚は冷たく乾燥し,ブロンド又は蒼白である。毛髪は健康人と変りないが,爪は時に薄くもろいことがある。又寒冷に対しては弱く,Hinesの寒冷試験では明らかに反応が低下している。一方紫外線に対する紅斑量は著しく増大し,健康人よりも色素沈着が起りにくい。ヒスタミン膨隆には定型的な反応を示す。少数例ではLewisの3重反応を示した。又本症は発汗が非常に減ずるから,ピロカルピン,エピネフリン,塩酸メタヒヨリンにより変化を示す。組織的には皮膚は厚くみえるが実際は薄い。即ち表皮と真皮は薄く,皮膚附属器は少くなる。表皮では角質増殖と顆粒層が厚く,粘液層が薄くなるのが特有である。真皮においては膠原繊維の断裂と弾力繊維の変性がある。僅かの浮腫があるが,真の粘液腫性の変化は顕著でない。種々の臨床的組織的の所見は甲状腺剤治療により速やかに反応するけれども,変性した部は永久的である。
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