特集 皮膚泌尿器科診療の進歩
皮膚疾患のビタミン療法について
安田 利顯
1
1関東逓信病院皮膚科
pp.793-798
発行日 1954年12月1日
Published Date 1954/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201330
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近年皮膚疾患の治療に多くの長足の進歩が認め,られた。ビタミン療法もその—つであることは論をまたぬが,これにはビタミン化学の進歩,特に高濃度ビタミン製剤の発達を無視することは出来ない。更に重要な点は,皮膚病変を体内の病的過程の皮膚に於ける表現と見る考え方が強く皮膚疾患の解釈に取入れられるに至つたことである。今日主としてビタミン療法の対象となるものは,欠乏性皮膚病変の他は反応性皮膚疾患である。ここに内在性病的過程というのは,体内諸臓器の器質的病変に限らず,機能的病変も含まれている。
この際,ビタミンと皮膚病変との関連を論ずるにあたつて我々臨床家が最もよりどころとしている所は,諸種ビタミン欠乏に際して現れる皮膚病変である。従つて,我々が皮膚疾患のビタミン療法を理解する上には,各ビタミンの欠乏に際して認められる皮膚病変を熟知しておくことが大切である。
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