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皮膚疾患に對するErythromycinの外用療法
伊川 裕
1
,
丸山 治郞
1
1徳島大學醫學部皮膚科教室
pp.879-882
発行日 1953年12月1日
Published Date 1953/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201115
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まえがき
抗生物質の發見と急速な普及は皮膚科領域に於ても大きな變革をもたらした。オーレオマイシンテラマイシン,クロラムフエニコールのバイラス性疾患に封する効果はその優たるものであり,扁平疣贅(山本),帯状疱疹(Finland小堀,KalzHollander),水痘,傳染性軟腫(Guy),に對する有効性は注目されてよい。この一群の抗生劑はまた膿皮症にも有効とする報告が多く,癤,膿痂疹,毛嚢炎,毛瘡,汗腺炎,小水疱性皮膚炎,火傷などに使用されて良果をあげている。然し抗菌スペクトルから見るとこれ等の抗生物質は化膿症に對してはむしろ二次的なものであるから,むしろbroad spectrum antibioticusとしてPenicillinに近い抗菌スペクトルを有し,Streptmycinに似てアルカリ性に於て最も強い抗菌力を示すErythromycinが膿皮症に對してより有効ではないかと考えて,外用によりその効果を検討しようと試みた。
ErythromycinはStreptomyces erythreousから産生され,第6番目の新抗生物質(Ilotycin-Lilly—鹽野義,Erythrocin-abott-マルP)として治療界に送り出されて以來,その臨床成績が最近我が邦に於ても報告され始めた。
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