Japanese
English
研究と報告
Erythromycinによる進行麻痺の治療
Treatment of general paresis with erythromycin
山下 文雄
1,2
,
周 維新
1,2
,
李 煕洙
1,2
F. YAMASHITA
1,2
,
W. CHOW
1,2
,
H. LEE
1,2
1慶応大学医学部神経科
2厚生協会大泉病院
1Department of Neuropsychiatry, School of medicine, Keio University
pp.423-429
発行日 1959年6月15日
Published Date 1959/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200105
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Ⅰ.緒言
梅毒性疾患に対する治療は,ペニシリンの登場以来,各種抗生物質の応用されるに及び,飛躍的に好成績を得られるようになつてきた。しかしながら,晩期梅毒に対しては,初期梅毒および早期梅毒ほど著しい効果は期待できず,まだ18.2%の効果を示すに過ぎない。(樋口)1)
1952年Erythromycin(Ilotycin,塩野義製品)がMcGuire2)によつて発見されて以来,Cordice3),Huriez4),Aiexander5),藤井6),新7),平田8),美甘9)らの各治療例が報告されているが,いずれも晩期梅毒については言及していない。しかし,進行麻痺に対するIlotycinの効果については,僅かに新7),吉野10)らの報告があり,彼らの症例では身体症状および精神症状が好転したと記載されているが,いずれも他の駆梅療法との併用療法である。われわれはここに5例の進行麻痺患者について,先にペニシリン療法や発熱療法で身体症状および精神症状ともに改善され得ないもの,3例にIlotycinの単独療法を試み,後2例には初めからIlotycin単独を使用したもので,いずれも身体症状および精神症状に,著しい好転が得られたのでここに報告する。
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