特集 第7回臨床眼科学會
普通講演
(54)動眼神經・三叉神經領域の連合運動
佐野 圭司
1
,
竹内 一夫
1
1東京大學腦神經外科
pp.315-320
発行日 1954年2月15日
Published Date 1954/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201790
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腦神經の領域には正常に,あるいは病的に種々の連合運動がみられる(5,20,21)。このうち眼科學的にもつとも重要なものはいわゆるMarcusGunn現象あるいはJaw Winking Phenomenonであろう。1883年7月6日のOphthalmologicalSociety of the United Kingdomの集會でロンドンの眼科醫Robert Marcus Gunnは興味ある1症例を報告した(7)。これは15歳の女子で出生時より左眼瞼下垂があり,下顎を右方あるいは前方に動かすとたゞちに下垂せる不全麻痺状態の左上瞼が擧上し,下顎がその位置に留つている間は擧上位を保持した。この現象は多大の關心をもたれ,同學會はGowersを長とする委員會(3人の神經醫と1人の眼科醫より成る)を作つてこの症例の調査を命じた。その結論として下垂瞼の上瞼擧筋は同側の外翼状筋が收縮すると收縮する(その逆はおこらない),つまり外翼状筋・上瞼擧筋連合蓮動pterygoid-levator synkinesis (21)であるということになった。爾來,多數の同樣な症例やら異型やらが報告されている(21,20,6)。我國でも1893年の大西の最初の報告(28)以來,かなりの症例が文献にみられる(23,24,25,26,27,31,32,33等)。しかしながら本症の成因あるいは治療に關しては,いまだ定説というべきものは見當らない樣である。
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