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月經の赤血球沈降反應に及ぼす影響に就て
坂口 碩
1
1岐阜縣小坂町農業會診療所
pp.27-32
発行日 1949年1月1日
Published Date 1949/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200161
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緒言
月經が赤血球沈降反應に影響を及ぼすか否かと云う問題に就ては,今日まで種々報告せられ論議せられては居るものの未だ決定的解釋は下されて居ない樣に思われる.抑も赤血球沈降反應は非特異性の生物學的反應であつて,或る一定の疾患に特異なる沈降反應と云うものはないのであるが各疾患が罹患個體に與える生理的状態の變化の種類,或ひは變化の程度によつて正常の赤沈反應に影響を與えるものである.即ち生體内に於ける炎症性entzundlich又は變質性degenerativの組織破壞が病的に亢進した場合,斯くの如き際に赤血球の沈降速度が増加するのである.吾々臨床醫家は日常疾病の診斷・疾患部の廣さ或は疾病の重篤さの判定疾患の豫後並に治療上の標準等を定めるに當り,赤血球沈降反應は極めて簡單ではあるが現在實際的にも將亦理論的にも大なる意義を有するものであつて1日も缺く事の出來ない補助診斷反應の一つである.而して吾々が婦人の赤沈反應を檢せんとする場合月經時・非月經時を區別しなければならない程果して月經が赤沈反應に影響を及ぼすものであろうか.私は昭和13年東京都立深川産院在任中より今日に至る間に於て,主として呼吸器結核症90例,婦人科的疾患12名及び健康婦入50例に就て此れが檢討を試みたので,茲に報告する次第である.
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