症例研究
妊娠悪疽に對するグルクロン酸の效果
今西 義則
1
1天王寺病院産婦人科
pp.207-211
発行日 1952年5月10日
Published Date 1952/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200619
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緒言
惡疽は日本婦人に於ては全婦人の約半數に來ると云われ,大石氏は25.4%,久慈氏は44.0%,谷口氏は36.2%の數を學げて居る。其の原因即ち妊娠中毒症の原因に關する業績は枚學に遑なく議論百出,今尚明らかではないが胎兒側より分泌する一種の化學的物質が母體に毒素として作用するものであると現今一般に信ぜられて居る。又Jegorow氏(1935)はアレルギーを以て説明し,アレルギー現象と肝臓機能とが緊密な關係のある事は既明の事實である。(Doerr,Monwarning, Kämmerer氏等)。眞柄氏はアレルギー様疾患又はパテルギーと考えてよかろうと發表し,九島氏は絨毛産生物による母體全身臓器殊に腦下垂體間腦系機能の失調の結果起るものであり,妊娠失調症と云うべきであり,妊娠失調症なる概念はLichtwitz氏及久慈氏等の見解でもあると發表して居る。而してその治療方法も實に多種多様の方法が今日迄報告せられ特に最近Philpott,Handel-man氏等はメチオニンが妊娠惡疽に有效であると發表して居る。私は最近妊娠惡疽に封し解毒作用あるグルクロン酸を使用し一應有効なものと認めた。
グルクロン酸の妊娠惡疽に對する成績は今日迄本邦に於て全然その報告を見ないので例數甚だ僅少ではあるが發表し大方諸賢の御批判を仰ぐ次第である。
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