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オーレオマイシン(以下A.と略す)は1948年Duggar等が土壤中より見出した一種の放線状菌Streptomyces aureofaciensより,クロロマイセチン(以下C.と略す)は1948年Ehrlich等がStreptomyces venezuelaeより,又テラマイシン(以下T.と略す)はFinlay等(1950年)によればStreptomyces rimosusより夫々分離された抗生物質である。
いづれも人體には無害で,各種病原體に對し卓越した效力を發揮する。Virusに因る疾患にも有效である點より,皮膚科學領域に於ても色々のVirus性疾患に應用され始めた。R.L.Bave及びO.B.Miller(1949)1)は2名の白人女性の播種状單純性疱疹にA.,250〜500mgを1日4回内服せしめた所,24時間後に著效を收めた例を報告した。M.Finland, E.F.Finerty及びH.S.Collins(1949)2)は24例の帶状疱疹患者にA.を1日量4.0g,2〜4日間内服せしめた所,皮疹の新生及び擴大は停止され,疼痛は投與翌日より消失し,水疱は著しく乾燥し,短時日内に全治せしめた經驗を發表した。W.H.Guy, F.M.Jacob及びW.B.Guy(1949)3)は傳染性軟屬腫が300個も發生している1患者にA.250mgを1日2回2日間内服せしめた。4日目には皮疹は扁平となり,容易に治癒せしめる事が出來,而も再發は認めなかつた。彼等は本症の原因がVirusに因る事を詮明したWile及びKingery(1920)の業績より,A.を本症治療に試みた。其の結果優秀な成績を得た事から種々の疣贅疾患にも試みるべき良い療法であろうと述べた。之に答える樣にLawrellce G. Beinhauer(1949)はGibsonと共にUrol. Cutan. Rev. Vol.53誌上に尋常性疣贅に封するA.の效果を發表したが,其の結果はGuy等の期待を裏切り,失敗に終つた。翌年Beinhauer4)はC-を種々のVirus性疾患及び之に關係の有りそうな疾患に用いた。多形滲出性紅斑や帯状疱疹には著效を收める事が出來たが,疣贅には遺憾ながら,A.同樣效果を認める事は出來なかつた。即ち尋常性疣贅54例に1日量750mgのC.を2〜3週投與し,3週〜18ヵ月間經過を觀察したが,輕快したもの僅に4例,残り20例は悉く失敗に終り全治は1例も無かつた。又足蹠疣贅4例に同一量を3週間使用したが全例悉く無效であつた。
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