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海外トピツクス
pp.618-619
発行日 1951年12月1日
Published Date 1951/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200645
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寒冷傷害,血液凝固並にヒスタミンの關係
局所の凍傷を起すと血液のヒスタミン濃度が高まり,又は血液凝固時間が短縮する。他方ヒスタミン・シヨックの時には血液凝固時間が短縮するとの報告があり,更に抗ヒスタミン剤は寒冷蕁麻疹に有效な事實を見るから寒冷傷害,血液凝固,ヒスタミンの關係についてZetl-erの論文を紹介しよう。
家兎にヒスタミンを投與すると,投與量に比例して血液凝固時間は短縮する。即ち投與後1.5〜2.0時間に50%内外,4時間目は10〜30%の短縮である。ヒスタミン量體重1kg當り0.05mgの時は42%の短縮であるが,0.15mgに増加すると,74%と増加する。勿論この時トロンボーチテン數には變化がない。次に試驗管内で全血にヒスタミンを加えると,凝固時間が短縮するが,抗ヒスタミン剤のアンチスチンを加えると,逆に延長する。抗ヒスタミン剤の影響も,その濃度が高い程,延長作用は大である。ヒスタミン,抗ヒスタミン剤を同時に加えても,始めに抗ヒスタミン剤を加え15分後ヒスタミンを加えても共に短縮するが,初めにヒスタミンを加え,15—24分後に抗ヒスタミン剤を加えた時には,或は延長し,或は短縮する。ヒスタミンと抗ヒスタミン剤は,細胞又は細胞膜で反應するから,次に細胞を含まない血漿での實驗では,ヒスタミンは低濃度の時には凝固時間は短縮し,高濃度では逆に延長する。これに對し抗ヒスタミン剤はこのヒスタミンの兩作用に拮抗する。
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