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ビタミンAの皮膚疾患に對する治効
村田 良介
1
1大阪大學醫學部皮膚科泌尿器科教室
pp.17-20
発行日 1951年1月1日
Published Date 1951/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200446
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緒言
Frazier, Fu(1930)は華北に於て,中國兵の中で眼球乾燥症,角膜軟化症,夜盲症等のビタミンA缺乏の確實な症状と共に,毛孔性角化を有する皮膚の乾燥症即ちPhrynodermaが合併している樣な患者を記載した。續いてNichollas(1933)Locwenthal(1935)等もアフリカ,印度に於て同樣の患者を報告した。Steffens, Bair, Sh-eard(1939)はビタミンAを含む食餌を制限することに依り實驗的に皮膚に毛孔性角化を起さしめた。以上の樣な報告と實驗とに依り,ビタミンA缺乏は皮膚に特徴ある變化を起すことが明かにされた。Peck, Glick, Sobotka(1941)はビタミンA缺乏に依つて起る皮膚症状とダリエー氏病の皮膚角化症状との間に類似を認あ,ビタミンA投與に依り之を輕快せしめた4例を報告して以來,多數の研究者に依りダリエー氏病に對するビタミンAの效果が相次いで報告された.同年Brunsting,Sheard.は毛孔性角化の現象を有する毛孔性紅色粃糠疹と眼の暗順應との關係を述べ,其の閾値の上昇を證明し,之にビタミンAを投與して暗順應閾値の速かな恢復と皮膚症状の輕快とを來したと述べている。
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