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皮膚洗滌劑の原理並にその臨床
小堀 辰治
1
,
山田 實
1
,
久木田 淳
1
1東京遞信病院皮膚科
pp.12-16
発行日 1951年1月1日
Published Date 1951/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200445
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まえがき
われわれ皮膚科醫の日常診療に使用する外用藥は,わが國ではまだ油脂を主劑とするものが多くこれ等の外用藥は治療のたびによく清拭しないと却つて治癒を遷延せしめ,或は所謂軟膏皮膚を招來することは,よく經驗する所である。今まで,この清拭劑として使用してきたものは植物性油又はベンヂンであつたが,これ等のものは,全く軟膏類を洗淨し去るのではなくて,これを皮膚面に薄層として擴散せしめるにすぎないものである。例えば,われわれは濕疹患者を治療するとなるとまず病巣面にチンク油,泥膏,軟膏のいづれかを塗布して,翌日はオレーブ油で前の膏藥を清拭してまた油性膏を塗布するわけであるが,この際の清拭は油でおこなわれるために多くの場合これが完全ではなく,ベトベトとした感がのこり,一方患者に入浴を禁するので,患者は何ともいえぬ不快感を訴えたものである。一方このために衣類寢具を汚染し,特に夏期などは患者はとうていたえられない苦痛を訴えた。
われわれは,基礎膏の研究を東大北村教授指導のもとに實驗している中に,皮膚洗淨劑として極めてすぐれた化合物を發見し,昨年3月以降,既に7カ月間臨床的に使用し,極めて滿足な結果を得て,過去の清拭劑に全く一紀元を劃し得たと思うので,茲々これを發表する次第である。
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