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先天性魚鱗癬の1例,特にビタミンA療法に就て
村田 良介
1
1大阪大學醫學部皮膚科泌尿器科教室
pp.426-428
発行日 1950年10月1日
Published Date 1950/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200411
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緒言
本症は1792年Richterが初めてSingularisepidermidis deformitasとして記載した疾患で,その後種々の名稱で呼ばれて居たが,今日では先天性魚鱗癬と云われているものである。本症の定型的病像は胎内に於て既に汎發性角質増殖異常を起し,胎兒の胎生發育を著しく阻害し,多くは8ヵ月位で死産し,又は成熟して出生しても數時間で死亡するもので,全身恰も龜甲の樣な角板で被われ,體表の孔裂即ち口,鼻眼,耳,外陰部,肛門等或は四肢その他に畸形を合併する疾患で,直接吾々の經驗する事は殆んどない。然し夫れ程重症でなく生存し得るものもある。即ち初生兒の體表殊に顏面,關節窩,掌蹠等が大きな鱗屑で被われ,畸形も輕度であるか或は缺如している樣なものや,出生時に於ては重症のものと同樣の症状を呈するが段々良くなつてくるもの,或は病變が體の一部分のみに限局しているもの等がある。Rie-ckeは之を前者のIchthyosis congenita gravisに對してIchthyosis congenita larvataと名付けた又出生時には殆んど普通であつたものが數日,數週或は數ヵ月後に初めて不全型の樣な症状を呈する場合があり,之をIchthyosis congenita tardaと名付けた。
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