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皮膚疾患に対する水性ビタミンAの治験
高橋 友男
1
,
三浦 正伍
1
1広島医科大学皮膚科泌尿器科教室
pp.648-650
発行日 1954年11月1日
Published Date 1954/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201298
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皮膚疾患とビタミンとの関係は既に古くから知られているが,近来ビタミン研究の長足の進歩と共に世の注目を索く所,著しいものがあり,且臨牀応用も積極的となつて来た。ビタミンAについてもその例にもれず,ことに皮膚角化症に対する作用については多数の実験乃至治験例が報告されている。即ちde Gouvea (1818)が夜盲症の皮膚が乾燥していることに着目して以来,Bloch(1921)も角膜軟化症の子供の皮膚が乾燥していることを報告し,Frazier-Huが1931年ビタミンA欠乏食により子供の皮膚は乾燥,粗糙となり,成人では毛嚢に角質増殖(Follicular Keratosis)が見られたことを報告し,又Steffens(1939)もV.A欠乏食で実験的に毛孔性角化症を起さしめた。一方,Peck(1941)等はダリエー氏病に,Pettler(1936)は毛孔性紅色粃糠疹に,Lehmann(1940)等は毛孔性苔癬,棘状苔癬に夫々VAの有効なことを報告している。
而して角化性皮膚疾患に対するV.Aの作用機序は今日なお十分解明されておらないというものの,これら一連の疾患がV.Aにより治癒乃至軽快することが明かにされ,これら疾患の治療には不可欠のものとされている。
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