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プロタルゴール過敏症に就て
樋口 謙太郎
1
,
石井 義人
1
1久留米醫科大學皮泌科教室
pp.52-53
発行日 1948年7月1日
Published Date 1948/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200074
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プロタルゴールは皮泌科、耳鼻科、婦人科等にて廣く使用されてゐるが、其副作用の見るべきもののないのが特徴である。然るに最近それによる過敏症を呈した1例に遭遇した。最初の經驗であつたので驚いたが、文献を探すと稀にかかることもあるらしい。即ち副作用としては本劑の銀成分と蛋白成分の二方面にて惹起され得る。前者によつては銀皮症が起り、原野氏及淸水・杉浦氏等の報告がある。後者によつては蛋白アレルギーを起し得るのであつて、主として耳鼻科方面の報告が多い。例へば池尻氏をはじめとして樋口、西田、高橋、原田、藏田、松井氏等の例がある。皮泌科方面では尿道淋治療の際に遭遇した山田、橋本、鈴木、鈴木氏等の各1例及高橋(幸)氏の2例がある。
後者の症状としては使用數分後顏面其他の皮膚の潮紅、諸粘膜の腫脹、充血、呼吸困難、心悸亢進、胸内苦悶、冷汗、嘔吐、頻脈等の症状を呈し重篤を思はしめるが、經過は短かく、30分乃至2.3時間の中に消褪する。この間血壓は降下し、エオジノブイリーを認める。かかる患者は交感神經緊張を示すものがある(池尻、原田氏の例)。
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