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結核腎摘出40例について殊にその死亡例の回顧
岡 直友
1
1名古屋市立女子醫專皮膚泌尿器科
pp.54-58
発行日 1948年7月1日
Published Date 1948/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200075
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緒言
偏側腎結核の治療は、罹患腎の摘出を以て唯一の根本療法とされているが、手術施行の適應決定については十分の考慮を拂わねばならない。蓋し適應症を適切に定め、患者にいたずらな苦痛を與えぬことが望ましいからである。諸家の手術成績に關する統計的報告はこれに關する大きな参考とはなるが、手術成績の黒白を豫め定める方途は指示されない。腎結核患者の全身状態が、殊に腎以外に有する臟器結核病竈が手術操作によつて如何に推移するかを個々の症例について事前に豫見することは極めて困難なことである。余は本院に來院して以來(昭和19年7月—昭和22年7月末)40例の偏側腎結核の腎摘出例を經驗し、そのうち8例の死亡例を得たので、この概略の統計的觀察をなし、ことにこのうち死亡例の經驗から回顧的に手術の適應、禁忌について考察してみようと思ふ。
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