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チスチン結石に就て
板倉 淸
1
1慶應義塾大學醫學部皮膚科泌尿器科教室
pp.131-135
発行日 1947年5月1日
Published Date 1947/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200034
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緒言
Cystinは1810年Wollastonによつて膀胱結石の成分として發見され,硫黄を含むアミノ酸で,蛋白質の中間代謝産物として榮養上生理上必要缺くべからざるものである。新陳代謝の異常によつてチスチンが尿中に多量に排泄される時はチスチン尿と言ひチスチン結石の原因となる。チスチン結石は尿石中稀なものであるが,其の成因特にチスチン尿との關係に興味があるので外國では多數の研究が發表されてゐる。我國では1918年七五三が膀胱結石の一成分として報告して以來,1927年三澤は5歳時に發病した41歳男子のチスチン尿を伴ふ腎臓チスチン結石の1例,1935年井尻は38歳の父と14歳の子に現はれた自然排出尿路チスチン結石の1例,1943年和田は8歳の少女に發生した膀胱結石を砕石術によつて摘出した1例の報告があるのみである。
當教室に於ては既に2例を觀,中1例は著者が尿心の研究中に記載し更に大森,長谷川,板橋によつて小兒膀胱結石症として發表されてゐる。著者は更に1例のチスチン結石を經驗したのでチスチン結石に就て若干を記述したいと思ふ。
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