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固定蕁麻疹に就て
北村 包彦
1
,
川村 太郎
1
,
笹川 正二
1
1東京大學醫學部皮膚科教室
pp.127-130
発行日 1947年5月1日
Published Date 1947/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200033
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我々が通常固定蕁麻疹と呼んでゐるのは四肢,殊に下腿の伸側から足背へかけて豌豆大の硬い丘疹が點々とし,瘙痒甚しく,掻破するに從つて表面疣状となり,色素が沈著する,そしてそれは蚋その他に蟄された痕が斯くなつたと多くの患者が云ふ。斯るものが主であつて,即ちそれは疣状固定蕁麻疹である。これに對し四肢と限らす全身,殊に躯幹に豌豆大結節を無數に生じ,固より瘙痒あり,皮膚は一般に浸潤,肥厚し,汚穢褐色をなすもの,即ち謂ふところの丘疹状固定蕁麻疹は寧ろ牢である。この疣状及び丘疹状固定蕁麻疹の別は初めKreibichがPiekの固定蕁麻疹をこの2つと單純固定蕁麻疹の計3つの型に分類したのに初まるが,Kreibichは唯發疹に丘疹状のものと疣状のものとを認めたのみ,その後土肥章司教授は發疹の占位,その他全病像の上から疣状及び丘疹状固定蕁麻疹を夫々上に記したやうなものと規定された。併し外國では今日なほ,そして固定蕁麻疹以外の後に擧げる色々の名稱を以て本症を呼ぶ場合にも,Kreibichと同じく發疹に2種を認める程度で,それ以上本症に2つの型があるとは見てゐないやうである。
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