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尿管外結石に就て
中尾 知足
1
1大阪市立北市民病院皮膚科泌科器科
pp.3-6
発行日 1951年1月1日
Published Date 1951/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200441
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はしがき
尿管結石の診斷は膀胱鏡的檢査とレ線檢査で,殊に造影尿管カテーテルを挿入して對照撮影することに依つて,容易に診斷を附けることが出來るが,時には甚だ困難な場合がある。即ちレ線陰性結石の場合は勿論であるが,陽性結石の場合でも腰部,骨盤部には所謂Falsche Ureterstein,Beekenflecke等と唱えられる尿管結石を思わせる陰影が現われ,結石樣陰影が尿管内にある事を決定することが甚だ困難な場合である。
昭和8年當時の阪大教授佐谷有吉博士が,此の樣な症例を輸尿管外結石として報告されたが,計らずも此の症例は余が京大泌尿器科教室在職中故井上教授の下で諸種の檢索に當り,尿管結石の診斷を下し,手術をすすめたが,患者は之れを拒否して直ちに阪大を訪れ佐谷各教授の檢査を受け,上記の診斷を下されたもので,當時本例の結石陰影が尿管外にあつたと知つて甚だ意外としたのである。その後余は當病院で尿管憩室内結石症の疑を持つた患者に手術に依り所謂尿管外結石であつた興味ある症例に出會したので,第32回日本泌尿器科學會総會て報告したが,最近京大で始めの症例のレ線寫眞カルテ等を調べる事が出來たので,此の2例を擧げ,殊に其のレ線寫眞を供覽して診斷學上の參考に供したいと思う。
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