特別寄稿 『咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019』発刊
咳嗽セクションの改訂のポイント
迎 寛
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1長崎大学大学院医歯薬学総合研究科呼吸器内科学分野(第二内科)
pp.544-545
発行日 2019年8月1日
Published Date 2019/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1437200289
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はじめに
「咳嗽」は日常診療において呼吸器専門医に限らず,非専門医においても高頻度に遭遇する最も重要な主訴の一つである.その原因診断や治療をまとめる必要性から,2005年に日本呼吸器学会から「咳嗽に関するガイドライン」の第1版が発刊された.これは,日本における咳嗽に関して初めてまとまった内容となり,極めて意義をもったガイドラインであったが,当時は咳嗽に関してのエビデンスはまだ乏しく,各委員の経験に基づいた内容が中心であった.2012年に発刊された「咳嗽に関するガイドライン第2版」では,咳嗽に関するエビデンスも増え内容の充実が図られたことに加え,ガイドライン作成のガイドとなる「Minds診療ガイドライン作成の手引き」を意識して作成されたことが特徴である.すなわち,医療者が咳嗽診療の現場で直面する問題をクリニカル・クエスチョン(CQ)として提示し,これに対するエビデンスを示し,答えの形で推奨文を作成するという方法がとられた.この方法は現在のガイドライン作成では当たり前のようになっているが,当時は最先端のガイドラインであった.このような流れのなかで,今回「咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019」は第2版の出版から7年の歳月が流れ,内容の改訂が必要になったことに加え,もう一つの重要な主訴である喀痰もガイドライン化の要望が高まったことにより,喀痰の内容も加え新たな形で作成された.
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