発行日 2011年10月1日
Published Date 2011/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2012020792
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71歳女。呼吸器障害はなかったが、胸部CTで右S6に結節影と空洞性病変を指摘された。洗浄液培養でM.avium陽性より、M.avium complex(MAC)症と診断され、抗結核薬による治療が12ヵ月間行われ、結節影は縮小したが空洞性病変は残存した。投薬なしで約3年間経過観察したが、発熱と右胸痛が出現し、胸部X線で右胸水貯留を認め、細菌性胸膜炎と診断された。levofloxacin内服治療開始3日後に右胸水が増加、低酸素血症も認めたため入院となった。赤沈の亢進、CRPの高値、胸水細胞診の陰性、胸水ドレナージ後のCTで右S6の空洞の壁肥厚とニボー周囲の浸潤影を認めた。第6病日に喀痰の抗酸菌培養陽性が判明し、肺MAC病再燃と結核性胸膜炎を疑った。isoniazid、clarithromycin、rifampicin、ethambutolの内服とkanamycin筋注を行った。投与開始後、解熱し胸痛も消失し、CRPは低下し胸水も減少した。受診時・入院時・入院後に採取した喀痰と入院時に採取した胸水のいずれもM.aviumのPCR陽性、培養陽性が確認された。以上から、胸膜炎を合併した肺MAC症と診断した。clarithromycin、rifampicin、ethambulolを12ヵ月継続し、胸水は消失し、投与終了後2年の現在、再燃は認めていない。
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