脳神経外科をとりまく医療・社会環境
遺伝子検査に基づく抗てんかん薬誘発薬疹の回避
莚田 泰誠
1
Taisei MUSHIRODA
1
1理化学研究所生命医科学研究センター
1RIKEN Center for Integrative Medical Sciences
キーワード:
carbamazepine
,
clinical utility
,
human leukocyte antigen
,
Stevens-Johnson syndrome
,
drug-induced hypersensitivity syndrome
Keyword:
carbamazepine
,
clinical utility
,
human leukocyte antigen
,
Stevens-Johnson syndrome
,
drug-induced hypersensitivity syndrome
pp.648-653
発行日 2020年7月10日
Published Date 2020/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436204245
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Ⅰ.はじめに
ファーマコゲノミクス(薬理ゲノム学,pharmacogenomics[PGx])は,薬を意味する接頭辞(pharmaco-)と遺伝学(genomics)からなる造語である.PGx研究では,特定の患者における薬物応答性と一塩基多型(single nucleotide polymorphism:SNP)などのゲノム情報との関連を調べることによってPGxバイオマーカーを同定し,遺伝子検査に基づいて,個々の患者における薬効や副作用のリスクを投与開始前に予測することを目的とする.
PGxバイオマーカーは,体細胞遺伝子情報と生殖細胞系列遺伝子情報に大別される.体細胞遺伝子検査については近年,多くのがん分子標的治療薬の投与に際し,EGFRやKRASなどの遺伝子検査を実施することが,コンパニオン診断として必須となっている.一方,生殖細胞系列遺伝子検査は,既に保険適用されている抗がん薬イリノテカンによる白血球減少症のリスクと関連するUGT1A1や,炎症性腸疾患や急性リンパ性白血病の治療に用いられるチオプリン製剤による白血球減少症のリスクと関連するNUDT15にみられるように,特に副作用の発現リスクの予測に有用と考えられている.
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