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連載 脳神経外科と数理学
(7)人工知能技術と医用画像処理
(7)Artificial Intelligence Technology and Medical Image Processing
小林 和馬
1,2,3
Kazuma KOBAYASHI
1,2,3
1国立がん研究センター研究所がん分子修飾制御学分野
2理化学研究所革新知能統合研究センターがん探索医療研究チーム
3東京医科歯科大学生命理工医療科学専攻(博士課程)
1Division of Molecular Modification and Cancer Biology, National Cancer Center Research Institute
2Cancer Translational Research Team, Center for Advanced Intelligence Project, RIKEN
3Doctoral Program:Biomedical Sciences and Engineering Track, Tokyo Medical and Dental University
キーワード:
radiomics
,
non-rigid registration
,
deep learning
,
deep convolutional neural network
,
generative adversarial networks
Keyword:
radiomics
,
non-rigid registration
,
deep learning
,
deep convolutional neural network
,
generative adversarial networks
pp.654-664
発行日 2020年7月10日
Published Date 2020/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436204246
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Ⅰ.はじめに
現代の医療,特にがん治療では,診断,治療方針の決定,治療および経過観察のいずれの過程においても,医用画像とそれを処理するための高度な画像解析技術が重要な役割を果たしている.その結果,日々の診療において質的・量的に膨大なデジタルデータが蓄積されてきたが,その多くは臨床における役割を果たした後,単なる「写真」として保管されるにとどまっていた.
しかしながら,近年の計算資源およびアルゴリズムの飛躍的な進歩に伴って,こうした医用画像を貴重なデータ資源としてコンピュータによる解析の俎上に載せることで,臨床意思決定支援や画像診断補助,院内安全対策,診療における各種のスループット向上など,さまざまな現実的な課題解決のための糸口にしようという機運が世界的に高まっている.特に本邦は,経済協力開発機構(OECD)諸国の中で,CTやMRIなどの画像診断装置を人口あたりで最も多く有している.その中で,人工知能技術と医用画像処理を組み合わせた臨床支援システムを確立することは,個別化・精密化された医療体系に寄与するのみならず,高齢化で逼迫する本邦の医療の持続可能性という観点からも急務である.
本稿では,人工知能技術と医用画像処理という観点から,その要素技術としての画像定量化手法や深層畳み込みニューラルネットワークを概観するとともに,各分野における最新の医用画像応用の成果について紹介する.
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