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Ⅰ.はじめに
近年,脳神経外科領域に限らず,あらゆる外科手術においてless invasive surgeryが要求される.神経内視鏡分野においては,1980年代頃から光学機器の発展に伴い,内視鏡を用いた脳神経外科手術が進展してきた.当初は水頭症に対する治療に始まり,今では脳内出血,脳腫瘍など,さまざまな疾患に対して用いられるようになっている.
本稿のテーマである脳内出血に対する外科的治療は開頭手術,定位手術,脳室ドレナージ術が行われてきたが,今日では開頭手術と定位手術の長所をもった神経内視鏡手術がこれに加わる構図となっている.脳内出血に対する内視鏡手術は1985年にAuerらがその有用性について報告し5),1989年にその有効性をrandomized control trial(RCT)により報告した6).わが国では,2000年にNishiharaら36,37)が専用シースを用いた内視鏡下血腫除去術を考案し,その後止血操作とイリゲーション操作が安全かつ容易に行えるようにdry field method37)やinflation-deflation method33)が報告された.また,内視鏡下血腫除去の手術成績についても数多く報告されており,手術手技においては施設間で若干の違いはあるものの,近年では基本的な手技はほぼ確立しているものと考えられる1,16,36,38,57,58,62).
さらに内視鏡手術の利点として以下のものが考えられる.これまで脳内血腫の脳への二次的ダメージ(血腫周囲の浮腫)については数多く報告されているが3,4,12,32,44,54,69),内視鏡手術は開頭手術と比較し,低侵襲に血腫除去を行え,術後管理も容易となることで血腫の二次的ダメージを軽減し,かつ急性期リハビリテーションへスムーズに移行できる.ゆえに内視鏡手術において機能予後の改善を期待するのは妥当と思われる.
また以前より同じ低侵襲手術である定位手術による血腫除去術の有効性は報告されているが25,26),問題点として,盲目的で止血操作が困難であることが考えられるが,同じ穿頭術で行える内視鏡手術は直視下に止血操作が可能で,かつ十分な血腫除去率が得られる.ゆえにより安全で効率的な手術と考えられる.
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