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Ⅰ.はじめに
髄膜腫は頭蓋内腫瘍のうち神経膠腫についで発生頻度の高い腫瘍であり,その比率は諸家の報告5,9,13,14,27,37)の中では13.4%から19.2%程度で,本邦集計17,37)でも15%前後の頻度とされる.通常,髄膜腫はその発生が脳外であること,また生物学的性質が比較的良性であることから,その術後予後は一般によいとされているが,全摘されたと考えられる症例からの腫瘍再発がしばしばみられ治療上の問題となっている,Cushing & Eisenhardt(1938)6)はその膨大な記述の中で,術後予後は手術内容と関連することを述べ,Simpson31)は主にこの問題について検討し再発比率は腫瘍の切除程度と平行することを報告した.一方,Cromptonら4)は組織分類別に術後再発について検討を行っているが,術後予後に関連する因子についてはなお不明な点も多い.また,髄膜腫手術に際して不完全摘出に終らざるを得なかった症例の中にも,ときにかなりの長期生存例のあることは日常診療の中で経験されることであるが,腫瘍残存症例の予後について詳細な検討を行った報告はあまりみられない.
本報告では,名古屋大学医学部で扱った髄膜腫症例について追跡調査を行い,手術内容および病理診断とその術後予後,再発との関係を中心に検討を加え,治療上の問題点について考察した.
Out of a series of 152 meningiomas in Nagoya University Hospital, 112 surgical cases during the period from 1955 to 1973 were subjected to the follow up study. Postoperative course was confirmed in 108 patients (97%). The surgical procedures were classified into 4 steps of operation according to Simpson (1957), grade V operation being included in grade IV because of the small number. All histological materials were re-examined for precise pathologic classification according to Russell and Rubinstein.
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