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Ⅰ.はじめに
頭部外傷に伴う著明な鼻出血は多くの場合,前篩骨動脈あるいは蝶形口蓋動脈からの出血であり,通常致命的な大出血とはならず,tamponadeによって比較的容易に止血できるものである3).しかし穿通性あるいは閉鎖性頭部外傷により内頸動脈が損傷されると,鼻腔,口腔より致命的な大出血をきたしうる.なかでも内頸動脈海綿洞部および近傍に外傷性動脈瘤,動静脈瘻または亀裂を生じた場合,あるいはこの部に既にあった動脈瘤が外傷により損傷された場合には,後日大量の鼻出血をくり返し遂には死の転帰をとる恐れがある.このような症例は比較的稀なものであるが頭部外傷の合併症或いは広義の後遺症として重要なものの1つである.我々の経験した閉鎖性頭部外傷に伴う3症例を紹介するとともに,これまでの報告例をまとめ,とくに動脈瘤によるものを中心として考察を加えたい.
閉塞性頭部外傷後に著明な鼻出血をきたし頸動脈写で内頸動脈瘤を認め,手術によりいずれも救命しえた3症例を報告するとともに,頭部外傷後に著明な鼻出血があり頭蓋内内頸動脈瘤,動静脈痩あるいは内頸動脈の亀裂が確実に証明されている46例(我々の3例を含む)をまとめ,とくに動脈瘤例についてその原因,臨床症候,診断,治療を論じた.
Severe epistaxis following head injury may occur from damage to the anterior ethmoidal or sphenopalatine arteries. However, the more massive, life-threatening posttraumatic epistaxis is that arising from ruptured aneurysm, arteriovenous fistula, or tear of the intracranial extradural portion of the internal carotid artery. The authors had opportunities to treat successfully 3 cases of massive delayed epistaxis from the aneurysm of this site following closed head injury.
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