Japanese
English
総説
悪性脳腫瘍とcyclic AMP
Problems of the Action of cyclic AMP on Malignant Brain Tumors
永井 政勝
1
,
寺岡 暉
1
,
降旗 俊明
2
,
野村 和弘
2
,
松谷 雅生
2
Masakatsu NAGAI
1
,
Akira TERAOKA
1
,
Toshiaki FURIHATA
2
,
Kazuhiro NOMURA
2
,
Masao MATSUTANI
2
1独協医科大学脳神経外科
2東京大学脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Dokkyo Universiy School of Medicine
2Department of Neurosurtrery Faculty of Medicine, University of Tokyo
キーワード:
Malignant brain tumor
,
cyclic AMP
,
Differentiation
,
Growth control
Keyword:
Malignant brain tumor
,
cyclic AMP
,
Differentiation
,
Growth control
pp.511-519
発行日 1974年8月10日
Published Date 1974/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436200209
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Ⅰ.はじめに
cyclic AMP(cAMP)が中枢神経系に於て占める役割の大きいことは従来よりよく知られていたが,近年,各方面からの研究が著しく進歩して来たことは注目に値する.cAMPを発見したSutherlandおよび彼の共同研究者達がすでに1962年に,この物質に関与する酵素—adenyl cyclaseと,phosphodiesteraseが,脳においてずばぬけて高い活性をもっていることを報告したが4,44),その後,cAMPそのものの定量法の発達につれて,中枢神経系の各部位におけるcAMPレベルについても報告が相次いだ6,7,40).同時にこのようなcAMPの脳内レベルに,norepinephrineやhistamineのような活性アミンが密接に関与していることが明らかにされ18,19,41),これを媒介として神経生理学的研究へも進展するに至ったのである20,42).このような経過を通覧するためには,さらに2冊のmonograph11,12)を参照していただきたい.またわが国でもcAMPに関する特集雑誌が出され,垣内,宮本らの,脳とcAMPに関する論文が参考となる46,52),なお,現在までに得られたcAMPの作用機序と代謝に関する総括的なシエマをFig.1に掲げておく.
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