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はじめに
ホルモンは生体調節に不可欠な化学的情報伝達体であり,標的細胞膜に存在する特異的な受容体と結合して,標的細胞内にcyclic AMP(cAMP)濃度を増加し,ホルモンに特異的な生物学的レスポンスを生ぜしめることは,あまりにもよく知られた事実で,これに関する総説も1〜17),すでに多数書かれており,ここで改めて紹介する必要もなかろう。一方神経刺激伝達体は,ニューロンの軸索に沿って伝わるインパルスに応じて終末部よりシナプス間隙に放出され,相対するニューロンまたは標的細胞膜上の受容体に結合して,受容細胞に分極または,特異的な生物学的レスポンスを生ぜしめる内在性情報伝達物質である(図1)。
アセチルコリン(AcCh)およびノルエピネフリン(NE)が神経刺激伝達体であることは確立されているが,他に刺激伝達体と見なし得る化合物(putative neurotransmitters)はドーパミン(DA),エピネフリン,ヒスタミン,セロトニン(5-HT),ナクトパミン(OA),γ-アミノ酪酸,グルタミン酸,アスパラギン酸,グリシンなどである。刺激伝達体は神経終末部にみられる多数のシナプス小胞に濃縮されており,常時,少量ずつ終末部より分泌され,標的細胞に微小電位を生ぜしめるが,情報伝達には役立たない。
The protein group of cyclic AMP system in neural membranes (adenylate cyclase, cyclic AMP phosphodiesterase, cyclic AMP-dependent proteinkinase, cyclic AMP-dependent protein phosphatase and substrate proteins) are reviewd and a hypothesis on the role of cyclic AMP in nervous function has been proposed as follows.
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