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Ⅰ.はじめに
脳神経外科領域においても,cyclic 3',5'−AMP(cAMP)は,ホルモンの作用機序20),エネルギー代謝38)などに深い関連があり,中でも最近Dibutyryl cyclic-AMP(DBcAMP)が,悪性ゲリオーマ組織の増殖を抑制する効果を持つことが知られ,にわかに注目されてきている18,26,28),ことに培養癌細胞内のcAMPの実測値は,異常に低い状態にあり,この事実が腫瘍の異常増殖とも密接に関係していると推定されている2,10-12).この理論的根拠に基づいて,培養脳腫瘍組織にcAMP誘導体,ことにDBcAMPを作用させ,認むべき効果が得られ,すでにいくつかの研究が発表されてきつつあり,さらに一部にはその臨床応用19,27)も試みられる段階にある.
しかしながら,一般に細胞外から投与する場合には,DBcAMPまたは,N6BcAMPのほうが,単純なcAMPよりも生物活性が高いという事実が知られており,また腸内細菌のようにDBcAMPをN6BcAMPまたは2'OBcAMPに変える酵素をもたず39),しかも一部にはDBcAMPそのものには,生物活性がないとする説が報告38)されているなど,これら誘導体が,人脳のintrinsicなcAMPと同一には老えがたい点がある.さらには,培養細胞で得られた結果が,多種類のホルモンにより正確に制禦されている生体細胞に,そのまま適応され得るかの疑問もある.
Literatures showed that cyclic AMP of cultured neoplastic cells of any kind was very low in concentration and also the effect of cyclic AMP and its derivatives on the malignant cells, especially on the malignant glioma, was already reported in vivo or in vitro from several neurosurgical units. The intrinsic content of cyclic AMP of the human cerebrum and the human brain tumors was first reported by authores in 1971. In this presentation the authores intended to confirm that the lower concentration of the cyclic AMP the more histologically malignant cerebral neoplasm, as well as in the cerebrospinal fluid, was observed.
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