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Ⅰ.はじめに
重症脳外傷患者の診断と治療にさらに向上をもたらせるためには,脳循環代謝の面から新しいアプローチを加えることが是非とも必要と考えられる.臨床研究という点では制約されるところが多いが,われわれは比較的試料の得られやすい内頸静脈血や髄液を用いてその面からいくつかの成果を報告してきた17-18,19).今回の報告は,重症脳外傷患者について測定した髄液PO2(酸素分圧)に関する研究である.
髄液PO2は一般に脳のavailable oxygenの量を表わすものであり,脳組織PO2と関連が大きいものと考えられている(組織PO2をoxygen availabilityの語ではじめて表現したのはMontgomery24)(1950)であるという.).臨床例の成績から,それがはたして事実であるかどうか,髄液PO2に関与している因子は何か,脳外傷の診断・治療に際して髄液PO2の測定がどのような意義を有しているか,などについて明らかにするのが本研究の目的である.この第(Ⅰ)部においては髄液PO2を動脈血PO2やPCO2(炭酸ガス分圧)との関連において検討するが,第(Ⅱ)部における脳循環・代謝と関連した研究とは一連のものである.
In 74 patients with severe head injury, PO2 of ventricular CSF (PfO2) were repeatedly determined during the first 10 days after trauma. Since the patients had a variety of respiratory dysfunction and oxygen therapy, arterial PO2 and PCO2 (PaO2 and PaCO2) were maesured simultaneously. In some of the patients, test inhalation of 100% O2, 2.5% CO2 and artificial hyperventilation were performed. In addition, the relative values of PfO2 to PaO2 or PaCO2 were compared to the level of consciousness when the data were obtained and the prognosis of the patients.
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