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Ⅰ.はじめに
視神経障害がみられる脳下垂体腺腫(pituitary adenoma)の治療法に関する従来の一般的な考え方は,腫瘍の被膜内剔出術(intracapsular removal)により,視神経に及ぼす圧迫を除去し,さらに,残存する腫瘍による再発を予防する目的で,術後,放射線療法を行なうことであった.そして,手術に際しては,敢えて危険を冒して腫瘍の被膜を剔出することは,手術侵襲が大となるため禁忌とされてきた.ところが,近年,脳神経外科手術におけるmicrosurgeryの導入により,安全で,しかも,かなり根本的な手術ができるようになり,脳下垂体腺腫の手術に際しても,鞍隔膜を越えて視床下部方向に発育した部分の被膜をも含め,腫瘍を全剔出しようという考え方も,さして抵抗なく受入れられるようになってきた.その背景には,従来の被膜内剔出術に加えた放射線療法の併用療法によっても,腫瘍の再発は約10%にみられ5,9),しかも,再発例の手術死亡率は高く4,9),また,頻度は少ないが,放射線療法の合併症も問題になっていることを忘れてはならない.とくに,suprasellar extensionの著明なものでは,再発率も高く,このような例には,腫瘍の全別出術が検討されなければならない.
脳下垂体腺腫の全別出術に関しては,手術術式3),手術成績5)について,すでに報告もあり,その成功例も多くみられている9).
The authors advocated the combined transsphenoidaltransfrontal approach for large pituitary adenomas with marked suprasellar extension for the benefits of diminish-ing the complications accompanying the total removal of the tumor by transfrontal approach alone. The advantage of this method was the preliminaly minimization of the volume of the tumor by the safer transsphenoidal approach prior to the intracranial approach. The second stage transfrontal approach was more easily performed and the total removal of the tumor was also feesible without difficulties.
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