Japanese
English
総説
脳振盪の病態—その形態上の変化と脳循環代謝
The Alteration of Cerebral Circulation and Metabolism in Concussion.
坪川 孝志
1
Takashi TSUBOKKAWA
1
1日本大学脳神経外科
1Department of Neurological Surgery,School of Medicine, Nihon University
キーワード:
Head injury
,
Concussion
,
Cerebral circulation
,
Cerebral metabolism
,
B-B—Barier
,
Electrical activities
Keyword:
Head injury
,
Concussion
,
Cerebral circulation
,
Cerebral metabolism
,
B-B—Barier
,
Electrical activities
pp.563-573
発行日 1983年6月10日
Published Date 1983/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436201679
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I.はじめに
頭部衝撃直後に一過性意識障害をはじめとする神経症状が出現し,肉眼的に認むべき脳損傷(gross brain in-jury)を伴わない場合,これを脳振盪(concussion,com-motio cerebri)といい,本邦では臨床的には荒木分類のII型に相当する.認むべき脳損傷がなくて,一過性に意識障害を発生するのが脳振盪であるとすれば,その意識障害の発生は,肉眼的にはnonvisibleな形態的変化ないしは機能的な変化に由来するものであり,しかもそれらの変化は可逆性病変でなければならない.
この変化の本質を知ることは,意識障害の発生機序の解明にもつらなる興味ある研究対象で,古くから多くの研究が積み重ねられてきている.衝撃による脳機能の低下が脳振盪の本質とするDenny-Browliら(1941)11)の説と,衝撃により脳機能が亢進しているのが本質であるとするWalkerら(1944)80)の説が対立している.しかもその異常の発生部位は脳幹を中心に発生するとするGurdjian(1955)23)の説と,むしろ大脳半球の皮質障害が先行するとするOmmayaら(1974)55)の説が対立している.
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