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編集後記
寳金 清博
pp.194
発行日 2012年2月10日
Published Date 2012/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436101663
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本誌の扉で,坂井春男教授に,「一度世に出た文章を消すことはできないこと,そして,一言一句で書き手の本質が見抜かれてしまう…」と書かれてしまうと,私のような小心者(chicken)の筆は,怯えてしまって,一歩も進まなくなってしまう.ただ,ここは,本誌の中では視聴率一桁に間違いない(編集部の方,事実誤認があればご容赦を)編集後記と高をくくって,「書き手のレベルがわかってしまう」文章を書かせていただく.
Evidence一色の現在の医学において,経験的,非定量的,descriptiveな記載という「文学」のごく普通の手法が極めて冷遇されていることは言うまでもない.そんな論文は,エッセイであり,天地がひっくりかえっても,LancetやNEJMに掲載されることはない.もちろん,いわゆるnarrative based medicineのように,これを止揚しようという試みもあるが,これは,臨床的な技術であり,医学論文における記述の方法としては,市民権を得ていない.
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