コラム:医事法の扉
第40回 「文書提出命令」
福永 篤志
1
,
河瀬 斌
1
1慶應義塾大学医学部脳神経外科
pp.822
発行日 2009年8月10日
Published Date 2009/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436101002
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
民事裁判では,証拠資料として「文書」の提出を求められることがしばしばあります.医療訴訟では,「文書」として診療録や看護記録のほかに,医療事故報告書などの内部資料の提出を求められることもありますが,このような資料には個人情報や医療関係者の自由な意見などが記載されていることから,はたして常に提出義務を負うのかが問題となります.
民事訴訟法には「文書の所持者は,その提出を拒むことができない」(220条柱書)と規定され,訴訟関連文書に関して裁判所が発した文書提出命令(223条)を受けた当事者(原告・被告)または第三者は,原則として,当該文書の提出義務を負うこととなります.この決定には即時抗告という不服申立てもできますが(同条7項),命令に応じない場合,当事者は,「当該文書の記載に関する相手方の主張を真実と認めることができる」(224条1項),第三者は,「20万円以下の過料に処する」(225条1項)といった不利益・罰則が課せられてしまいます.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.