連載 医療機関で起きる法的トラブルへの対処法・27
裁判所の差押命令への対応
髙橋 直子
1
1弁護士法人 色川法律事務所
pp.618-621
発行日 2023年7月1日
Published Date 2023/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541211972
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■1 差し押さえの効力
病院に突然裁判所からの郵便が届き,職員の給与・賞与などが差し押さえられることがあります.例えば,職員が配偶者と別居して離婚協議中であるときに,配偶者から婚姻費用を請求され,支払わない場合に給与・賞与を差し押さえられるケース,職員が,消費者金融などからお金を借りて約束どおり返済しない場合に,給与・賞与を差し押さえられるケースなどがあります.
給与・賞与の4分の3に相当する部分(ただし差押債権者が扶養義務などに係る定期金債権を請求するときは,2分の1に相当する部分)については,差し押さえが禁止されています(民事執行法152条)ので,差押命令はこれを除いた金額の範囲で行われます.そのため,差押命令の送達を受けた病院は,差し押さえされた部分の給与・賞与は差押債権者に,差し押さえされていない部分の給与は職員に,分けて支払う必要があります.
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