増刊号 よくある質問にパッと答えられる—見開き! 検査相談室
病理
複数の生検検体を提出するとき,検体をろ紙に貼り付けて番号付与すれば,1つの容器に全て入れて提出してよいですか?
片倉 和哉
1
1香川大学医学部附属病院病理部
pp.444-445
発行日 2021年4月15日
Published Date 2021/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542202678
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
複数の検体を1つの容器にまとめて入れてよいか
生検検体はサイズが小さいので,検体の紛失,挫滅を防ぐ目的や形態を保持するためにろ紙に貼り付けられることが多い.しかし,ろ紙に貼り付けた生検が剝がれることがある.検体の状態によってろ紙から剝がれやすいものもあり,特に食道粘膜などの扁平上皮が剝がれやすい.同一容器に複数の検体を入れた場合,容器内でろ紙から検体が剝がれることで生検番号がわからなくなり,採取部位が不明になる.その結果,同一患者における検体の取り違えが生じる危険性がある.
したがって,採取部位が異なる生検検体は別々の容器に入れるのが原則であり,それぞれの容器に必ず,患者属性(氏名,IDなど)および検体情報(採取部位,枝番号など)を記載するのが望ましい1).さらに,主治医が病理組織依頼書にも,その識別が可能であるよう記載し,検体個数を明記する.間仕切りのついた生検標本カセットを使用することで複数の採取された組織が混在しないようにする方法もある.
Copyright © 2021, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.