コラム:医事法の扉
第13回 「事務管理」
福永 篤志
1
,
河瀬 斌
1
1慶應義塾大学医学部脳神経外科
pp.509
発行日 2007年5月10日
Published Date 2007/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436100532
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今回は,民法の話に戻ります.民法は,われわれ私人間における権利義務関係を規律する一般法ですから,医師法や医療法などの特別法に規定されていない事項は,すべて民法に従うことになります.
民法には「事務管理」という聞きなれない項目があります.これは,「義務なく他人のために事務の管理を始めた者は,その事務の性質に従い,最も本人の利益に適合する方法によって,その事務の管理をしなければならない.」(697条)と規定され,「他人である本人」の了解がなくとも事務管理者に債務が発生してしまうという,変わった法律関係の1つです.じつは,この「事務管理」に関連して医療現場で問題が発生することがあります.「本人」が意思能力のない患者の場合がそれにあたります.
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