脳神経外科をとりまく医療・社会環境 これだけは知っておきたい個人情報保護法
第1回 バランスのとれた個人情報保護法の運営のために
稲葉 一人
1,2
1科学技術文明研究所
2東京大学大学院医学系研究科
pp.537-541
発行日 2006年5月1日
Published Date 2006/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436100196
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1.個人情報保護法騒動は終焉したか
個人情報保護法は,2005年4月全面的に施行され,前後して,厚生労働省ガイドライン(医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン(平成16年12月24日通達)や,Q&A(「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」に関するQ&A(事例集)(平成17年3月28日掲載,数度の改定)が公にされています.確かに、法だけでなく,ガイドラインや事例集が出されることにより,考えの道筋が示されたといえるでしょう.
したがって,当初議論された,①患者を名前で呼ぶべきではないのか,②病室やベッドに患者の名前を示すべきではないのか,③病院外からの電話への応答は一切しないほうがいいのか,④FAXは一切使うべきではないのか,⑤カルテ等はすべて鍵のかかるロッカーに入れるべきなのか,といった種類(初級コースともいえるでしょう)の個人情報保護への無知ともいえる過剰な反応はなくなっています.
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