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はじめに
沼田脳神経外科循環器科病院は2004年7月1日より,試行適用病院として急性期入院を対象とした診断群分類包括評価(DPC)を導入した.
DPC制度は2003年4月1日より全国の特定機能病院(82施設)において開始導入された.さらに1年間後の2004年より,DPC試行適用病院(62施設)でも試行導入された.このDPC試行適用病院には,旧国立病院や社会保険関連病院のような大規模公的病院以外に当院のような民間病院も含まれている.
DPC導入の背景には医療費の抑制・削減があるが,同時に医療機関の医療コスト効率化と医療の質の向上という大きな目標が存在することを忘れてはならない.日本全体の医療効率と質向上を実現させるためには,特定機能病院のような一部の大規模病院だけに導入するだけでなく,小規模病院を含めた末広がりの導入が必要となる.実際2005年には,試行適用病院よりさらに枠を拡大して調査協力病院からもDPCのデータ収集が開始されている.次期診療報酬改定以降にも導入対象あるいは試行病院数が増やされ,近い将来には一般中小病院を含めた急性期病院すべてに「急性期包括評価の普及導入」がなされるであろう.
当院は現在,DPC試行適用病院の中で最も小規模(急性期病床65床)な病院である.小規模であるが故に,DPCに合わせて経営や医療の質の向上に真剣に取り組んできた.幸いにもこれまでの医療の質を保持しつつ,経営的にも良好な結果となっている.これからDPCを導入しようとしている中小規模病院(特に脳神経外科単科病院)にとっては,ひとつのモデルケースとなろう.
筆者はこれまでDPCの制度概要および脳神経疾患における各論的な事項を述べてきた1-16).本報告では当院での導入後1年間のDPC運用成績について報告し,合わせてDPC導入による経営以外の効果について考察する.
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