特集 病院の質評価の選択肢は広がるか
診断群分類・包括評価(DPC)とクリニカルパス
長浜 宗敏
1
1大阪大学医学部附属病院医療情報部
pp.114-119
発行日 2005年2月1日
Published Date 2005/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100237
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平成15年4月より診断群分類 (DPC : Diagnosis Procedure Combination) を用いたケースミックスによる診療報酬の包括支払い制度がスタートした.
これまで疾病や治療行為別に施設間の比較を行うことは難しく,体系的に疾患の在院日数や診療費を比較分析することはきわめて困難であった.しかし,DPC という分析評価ツールが開発されたことで,全国や施設間での比較が可能となり,病院経営や意思決定支援情報として幅広く利用され,日本における医療の透明性や標準化に役立っている.
一方,クリニカルパス(以下パス)の手法は,診療の標準化や在院日数の短縮に有効であり,患者に対するインフォームドコンセントとしても活用され,多くの医療機関で導入が進んでいる.パスの持つ標準的治療計画から得られる情報を,DPC に当てはめて解析することで,より多く情報が得られるようになった.
医療の質評価には,患者により良い医療を提供しているか,無理や無駄な診療資源が投入されていないか,経費は最小限であるかなどが挙げられる.医療の質を向上させることは,結果的に医療費の削減につながり,より良い医療をより多くの国民に対して提供することにつながると考える.ここでは,包括評価における医療の質向上のために有効な手法について,経営的評価と臨床評価の二つの観点から DPC とパスのかかわりについて述べるとともに事例について紹介する.
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