扉
出来高報酬と成功報酬
寺尾 榮夫
1
1東邦大学脳神経外科
pp.917-918
発行日 1988年7月10日
Published Date 1988/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436202659
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牛肉・ミカンの自由化結着についで米の自由化が強く迫られ50年近く続いた食管法は今,存亡の危機にたたされているようだ.戦中・戦後の食糧難時代,とにかく国民を破滅から救ったこの制度もすっかり時代の流れにとり残されてしまった.予約限度制などいくつかの手直しが加えられたとはいえ,生産された国内米は全部買い入れるという現実の需給関係無視の出来高払いに,歪みの根源があると思われる.国鉄といい,米価問題といい政治に引きづられ,経済原則をあまりにも軽視した制度は結局いつか破綻してしまうという教訓でもあろう.
ところで医療費も米価に似たところがある.保険非適用の薬,医療材料やレセプト審査といった制約はあるが,原則として出来高全額支払い方式である.医療サービスの内容は殆どが,供給サイドである医師・病院により決定され,需要サイドでの選択の余地は少ない.また保険制度の下で供給・需要の両サイドともコスト意識は低い,など一般社会の通念からはかなり特殊な需給体制となっていることはよく指摘される通りである.
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