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I.はじめに
実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)は多発性硬化症を中心とする脱髄疾患群,自己免疫疾患一般へ,そして髄鞘および細胞膜構造の究明へと広い展開を約束されているモデル疾患であり実験手段でもある。広くひろがつたその研究分野の中でEAE催起物質を純粋に抽出しようとする試みは最も基本的な課題の一つである。この問題が解決されたとき,脱髄抗体形成の最初の段階が解き明かされ,免疫学的・生化学的成果および形態学的所見などが統一的に解釈されることが可能となるであろう。
1950年代のはじめより着手されたEAE抗原抽出の試みは,幾多の論争を経て今日ようやく一つの方向を目指し出した。哺乳動物の中枢神経組織が免疫補助剤とともに他の哺乳動物(同種,異種を問わない)の皮内または皮下に投ぜられるときEAEを発症させること,および脱髄性抗体を生じしめることはすでに確認されている。このことがEAE発症に抗原抗体反応機序が関与していることの有力な根拠となつている。そして今日中枢神経組織の構成成分の中でKiesらの塩基性蛋白が最も注目されるに到つた。
Fractionation of the white matter of human brain has been performed after the methods by Folch, et al (1951) and Kies (1961). Each fraction was tested for the encephalitogenic activity on guinea pigs and rabbits. Result showed only acid extraction of defatted brain tissue was active, confirmed by clinical and histological observations.
Sera obtained from these EAE animals showed demyelinating activity, in the myelinated nervous tissue from rats and mice maintained in vitro. The demyelinating activity was found to be complement dependent, tissue specific and species nonspecific.
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