巻頭言
筋緊張を知り,異常を制す
和田 郁雄
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1名古屋市立大学大学院リハビリテーション医学分野
pp.446
発行日 2018年6月18日
Published Date 2018/6/18
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- 文献概要
筋緊張とは,筋を伸張した際の抵抗あるいは筋固有の硬さ(intrinsic stiffness),すなわち張力に依存した筋組織特有の性状である.ご存知のように,筋は,腱を介して骨と連絡し,関節を軸としてその運動を制御,可動させることを主たる役割としている.筋は,中枢および末梢神経の効果器として機能し,その緊張はankle strategyなど,姿勢保持や運動遂行に際して不可欠な特性である.人体の運動や行動の障害を扱うリハビリテーション医にとって,筋緊張の異常の有無を把握し,異常への対策を講ずる作業は日常的に行っている行動原理といっても過言ではない.ことほど左様にリハビリテーション医にとって筋緊張は気になる存在である.
リハビリテーション医は,伸張に対する筋の抵抗性を知ることで筋緊張の異常を捉える,つまり,modified Ashworth scaleと遜色ない評価を自律的に行っているといえよう.もちろん,腱反射を含めこうした半定量評価のみならず,誘発筋電図や等速性伸張性筋収縮力計測など客観的評価法も知っておいてもよい診療技術であろう.
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