特集 神経化学懇話会
主題I γ—アミノ酪酸の生化学
指定討論
脳組織でのアミノ酸の分離定量法
(5)高圧濾紙電気法の定量への応用
大原 和雄
1
1阪大神経科
pp.523-525
発行日 1960年4月1日
Published Date 1960/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431906370
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高圧濾紙電気法の定量への応用について御話し致します。分離の段階に高圧法を用いますと,分離が短時問のうちにベーパークロマトグラフィーとは比較にならぬ良い結果を示します。アミノ酸のような比較的,分子量の低い化合物では,従来からの低圧法ではよく分離して来ません。高圧法で始めてSlideの様に分れて来るのであります。一寸,高圧法を紹介しますと,第1図は私の愛用しております高圧濾紙電気泳動の泳動函でありまして,第2図は同じ材料について低圧法と高圧法の分離状態を比較したものであります。第3図は高圧法でのアミノ酸分離像(血液)であります。さて,GABAの抽出法は,只今も御話しがありました如く,いろいろあると思います。私共はこの場合第4図の様な抽出法をとりました。これを高圧法で分離致しますと次の第6図のようになりましてGABAは右端に分れて参ります。次に比色法ですが,比色法にニンヒドリンを用いることはその発色の状態が不安定なため,使用を危んでいたのですが,Robert E.Kay等の基礎的実験を追試した所,58〜68℃で最大発色に達し,65℃で加熱すると,時間は20〜25minが適当であると云うことは確かなことが判明し,又濾紙そのものの発色も,呈色以後,私共の様に1時間以内に操作し終るならば,全く無視して差支えないことがわかりました(第5図)。
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