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言語機能を脳の一定の部位に限局させようという試み―すなわち言語の大脳局在論―は,その部位として19世紀後半には大脳の外表すなわち大脳皮質を候補としてきた。たとえば,1863年のBroca7)による左第三前頭回を構音機能の座とする説や,1874年のWernicke33)による第一側頭回に言語の音響心像が存するとする説などである。これらは中枢説として知られるものである。その後,言語の大脳局在論は大脳外表の中枢間を連絡する神経線維の役割に注目するようになった。Wernicke(187433),190634))は言語の運動心像が存在する第三前頭回と言語の音響心像が存在する第一側頭回を連絡する弓状束の損傷で,復唱障害などが生ずると考えた。このような例では,左第一側頭回が健全であるので,話し言葉の理解は保たれている。また,左第三前頭回が保たれているので,話し言葉を自発的に発することができるという。しかし,聞いた言葉を理解してもそれを左第三前頭回へ伝達する左弓状束が損傷されているので,聞いた言葉を復唱することができないというのである。20世紀初頭に一つの体系としてまとめられた言語の古典的大脳局在論は,以上にのべた大脳皮質の中枢とそれらをつなぐ神経線維束で言語機能を説明するものであった。
1950年代になると,言語機能にとって重要な大脳部分として,大脳の外表ではなく内部構造である視床が問題となってきた。初期の研究としてはFisher15)(1959)やPenfield & Roberts26)(1959)の単行書『言語と脳』がある。とくに後老は,視床が言語機能において中心的な役割を果たすという説を広く流布させるのに力のあった書物である。
Studies on thalamic aphasia are reviewed. Three cases with autopsy (Molnár, 1959; Davous, 1984; Bogousslavsky, 1986) and cases with CT confirmation suggested that a paramedian lesion of the left thalamus and midbrain-especially the left darsomedial nucleus-causes aphasia. Further studies are expected to confirm the hypothesis. The so-called aphasia due to such a lesion almost always was accompanied with consciousness disturbance Recent studies were inconsistent to the hypothesis that a lesion of the left pulvinar or the left ventrolateral nucleus causes aphasia.
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